一百四十五箇条問答
仏教が日本に伝来したのはおよそ千五百年の昔。最初は貴族や学問僧だけのものだった仏教が本当に民衆化し、人々心の支えになったのは、鎌倉時代だったと言われている。その先駆けとなったのが浄土宗の開祖・法然上人でした。
当時、多くの人は字を読むこともできず、仏教の難しい教義を理解することもできませんでした。また、多くの迷信や因習にとらわれ、意味のない女性差別やタブーが横行していました。
そうした状況の中で、人々は本当の救いがどこにあるのかと悩んでいたのでいたのでした。その悩みや疑問に法然上人が自ら答え、正しい念仏に導くための問答集が、『一百四十五箇条問答』です。
ところでこうした迷信や因習は、はたして過去のものでしょうか。いたずらに人をおとしいれる怪しげな健康法や占いがはやる現代においてこそ、信仰のありかたが端的に示された『一百四十五箇条問答』の意味があるのです。
承安五年(1175)の浄土宗宗祖から二十数年を経て、上人のもとには、おびただしい人々が教えを受けに訪れて来ました。この問答集に収められた質問は、そうした人々の疑問を代表するものだったのでしょう。


