西願寺(さいがんじ)は、埼玉県草加市にある浄土宗の寺院です。

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浄土宗 西願寺(さいがんじ)

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埼玉県草加市遊馬町(あすまちょう)430 

浄土宗 西願寺

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仏はあなたを 見捨てない  7月

―Amida Buddha never forgets you.―

 今年の3月25日、尊敬する先輩僧侶が極楽浄土へ往生された。細菌に体を蝕まれ、わずか43日の闘病であった。
 愛嬌のある語り口と柔和な風貌に似合わず、教えに対する姿勢はとことん厳しかった。しかし打算のない人柄は人を引きつけてやまない。お悔やみに駆けつけたお檀家さんが口々に「私の一番の味方でした」と言う。私も同じことを思い、多くの仲間や後輩たちも感じていた。
 あまりに突然の訃報に多くの人々は混乱しつつも、先輩からいただいた言葉を反芻し、阿弥陀さまと人々を繋げることに一生を捧げた姿勢に思いを馳せた。
 発病の2週間前に、先輩がある勉強会の司会をされた音源がある。
 「阿弥陀さまは見守ってくれてはる、と思ってるんですけどね、時々心が揺れるんですよ。『こんなことして何になるんやろか。念仏してる時間あったら、もうちょっと嫁さんを大事にしてやった方がええんと違うやろか』と、迷う自分がおるんです。でもね、例えば切れかけた蛍光灯は点いたり消えたりするけど、切れてないでしょ。それと同じで、信仰も点いたり消えたりしてしまうんですよ。そやけど、そんな弱い私を見捨てへんのが阿弥陀さまなんですよね」
先輩の闘病中に車を運転しながらこの言葉を聞いた。涙が溢れて前が見えなくなってしまった。
 無常の世とは言いながら、先輩自身がそのような最期を望んだはずはない。もっとしたいことも、言いたいこともたくさんあったに違いない。しかし今、自分自身が生死をさまよう中、仏さまのことをつい忘れてしまう、弱い信心の者さえも見捨てない阿弥陀さまをどれほど頼もしく拝まれたことだろう。
たとえ私の方が忘れても、阿弥陀さまは私を忘れない。まるで親が一人っ子のことを思うように、心配して見つめ続けてくださっている。私たちが嬉しい時も悲しい時も、楽しい時も辛い時も、見守り続けてくださっている。「我が名を呼べよ。南無阿弥陀仏ととなえよ。必ず救うぞ」という誓いを成就され、呼びかけてくださっている。そして念仏をとなえる者を一人たりとも漏らすことなく極楽浄土へ救い取ってくださる。
 「ほとけは決して私を、あなたを見捨てない」のである。

 
(兵庫県尼崎市 法輪寺 北村隆彦)

 

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