再び会える 極楽浄土 (11月)
―We’ll meet again, in the Pure Land.―
私のお寺では毎朝6時過ぎからお勤めをし、その後境内清掃などの寺務を済ませ、8時から家族揃って朝食をいただきます。そのとき、必ずNHKの「朝ドラ」を見るのが日課になっています。今年の4月から始まった朝ドラ「あまちゃん」は社会現象になるほどの大ヒットを記録しました。このドラマは、岩手県の港町で海女をやっていた女子高生アキが上京してアイドルを目指すというストーリーで、アキが驚いたときに発する「じぇじぇじぇ!」というユニークな方言や、80年代の流行りものが数多く登場する懐かしい演出が話題になりました。
そんな中、最も注目を浴びたのが2011年3月11日の東日本大震災についての描写でした。このドラマの中では明確な年月日が設定されており、視聴者は毎朝ストーリーを楽しみながらも、必ずやってくるあの未曾有の悲劇へのカウントダウンを超人間的視点から見守るという独特の雰囲気の中で物語が進行しました。
そして迎えたあの日。岩手の港町は壊滅的な被害を受けました。復興へと日本全体がゆっくりと動き出す中、東京でアイドル活動に励んでいたアキは、岩手に帰る決断をします。何よりも「故郷のみんなと会いたい」という思いが強かったのでしょう。
携帯電話やインターネットが普及した現代、遠く離れた人とコミュニケーションを取ることは簡単にできるようになりました。しかし、だからこそ顔を突き合わせて「会う」ということの価値がより一層増したように思います。アキの目指したアイドルについて見てみても、80年代のアイドルはテレビやラジオの向こう側にいるまさに「憧れの対象」でしたが、現代では「今会えるアイドル」というようなキャッチコピーで、公演や握手会などを通じてファンとより近い距離で活動するアイドルが主流になりました。直接的な触れ合い自体が求められる時代なのです。
浄土宗で説く極楽浄土は、私たちがこの身このままでの往生がかなう、姿かたちのある有相(うそう)の世界です。先立たれたご先祖様や親しい方々とそこで再会を果たします。もちろん、極楽浄土は私たち凡夫にとっては初めて行くところですが、懐かしい笑顔に囲まれたその場所は、まるで私たちの故郷のように感じられるのではないでしょうか。
憧れだけではなく、必ず再開が果たせる世界、極楽浄土。法然上人がお示しくださったお念仏がその願いを結びつけてくださいます。清々しい再会となりますよう、日々のお念仏を大切にしていきたいものです。
(東京都江東区 正覺院 安孫子稔章)


