息ぬく力 生き抜く力 3月
―The power of relaxation brings the power of perseverance.―
「うちの嫁 後ろ姿はフナッシー」
昨年のサラリーマン川柳で1位に輝いた作品です。明るくほのぼのとした家庭をうかがい知ることができますね。
一方で、こんな作品もありました。
「家族割 あるのに妻と 通話なし」
この世の中は思い通りにならないことがたくさん。会社員ならば、取引先とうまくいかなかったり、新人社員との感性が合わなかったり。会社でいろいろなストレスを負っている上に「奥様との通話なし」では、なんと申し上げてよいやら……。
さて、サラリーマンに限らず、多かれ少なかれ誰もが抱えているストレスやさまざまな悩み。皆さんはこれに、どう対処されているでしょう。
私には、ストレスがもとで心の病にかかってしまった友人がいました。精神科医に相談し、投薬治療も行っていました。はじめは「こんなことではダメだ」と前を向いていた彼でしたが、日が経つにつれ、徐々に変わっていきました。
「もうダメだ」「どうやったら死ねるだろう」と漏らし、しばらく後、ついに寂しい別れを選んでしまいました。
とてもショックを受けましたが、私には、どうか極楽では阿弥陀さまのもとで平穏に過ごしてください、とお念仏をたむけるしかありませんでした。
立ちはだかる悩みや問題、そこからくるストレス。どうにかしてそれらに打ち勝つ方法はないものかと悩むことは、誰にでも往往にしてあるものです。
しかし目の前の現実は、医療を駆使しても、残念ながら変えられないこともあります。残酷なようですが、現実は、まず受け入れるしかなく、それによってこそ困難の受け取り方も変わり、展望も開ける、というのがお釈迦さま――仏教の教えです。もちろん、受け入れる辛さは並大抵ではありません。しかしそのとき、寄り添ってくださる方がいらっしゃいます。私たちにとってそれが阿弥陀さまです。
苦しいなら息を抜いてみなさいな、そして力を充電して、どうか生き抜いていってくださいね――。そう、阿弥陀さまはあたたかく見守ってくださいます。「南無阿弥陀仏」ととなえてみてください。「南無」とはすべてをお任せするということ。つまり「阿弥陀さまどうかお助けください」と声に出してお願いすることです。そうすることで安心感がうまれ、張り詰めていた心にも少しの余裕が生まれ、〝生き抜く力〟が芽生えてくることでしょう。日々のお念仏で、張り詰めた心を一旦阿弥陀さまにお預けし、自己を見つめ直す時間を大切にしてください。
(福岡県北九州市 常福寺 堀田顕英)