ご先祖さまと 共に生きる 8月
―Our deceased loved ones go through life with us.―
暑い夏を迎え、お盆の季節となりました。お盆は正式には盂蘭盆会(うらぼんえ)と言われ、毎年8月13日から15日(16日)、地域によっては7月13日から15日(16日)に、ご先祖さまのみ霊をお迎えし、ご供養する行事です。私のいるお寺は8月がお盆の季節です。
お盆の由来は『盂蘭盆経』というお経に書かれています。お釈迦さまの弟子の一人で「神通第一」といわれた目連尊者(もくれんそんじゃ)が、ある日、亡くなった自分の母親がどう過ごしているのか、神通力で見てみることにしました。するとなんと母親は餓鬼の世界に堕ちて、飢えの苦しみにあえいでいました。目連尊者は神通力を使って、母親に食べ物や飲み物を差し出しましたが、口に入れようとすると次々と炎に変わってしまい、母親はどうしても食べることができません。悩んだ目連尊者はお釈迦さまに相談しました。するとお釈迦さまは「雨季に修行をしている僧侶たちの修行が明けるとき、その僧たちに食事を施して供養すれば、母を餓鬼の苦しみから救うことができるでしょう」と説かれました。 そして、「同じように食べ物や飲み物を盆に盛って過去の先祖から父母までを供養しなさい。そうすれば、その功徳によって多くの魂が苦しみから救われ、いま生きている人もさらなる幸福が得られるでしょう」と説かれました。これが、お盆の行事の始まりといわれています。
私たちは、多くのご先祖さまのおかげによって生かされています。その長年のご恩に報いる日がお盆なのです。
私には父母があり、そのまた父母(祖父母)が4人、そのまた父母(曾祖父母)が8人。こうして数えていくと10代前で、1024人(合計2046人)もいらっしゃるんです。過去から続く、命のバトンを受けついで今、ここに私の、あなたの命が宿っています。
私たちの命は、ご先祖さま→両親→私→次の世代へとバトンタッチをしているのです。単独で走りきるという人はありえません。
今年のお盆は「ご先祖さまとのつながり」について考えてみませんか。私たちはみな、さまざまなつながりから生まれ、ご先祖さまと共に生きているのです。お盆はこの過去無量のご先祖さまに感謝する大切な行事です。
ご家族そろって墓前で手を合わせ、ご先祖さまに感謝をする。なんと尊いことでしょうか。どうぞ皆さまもご家族でお参りなさってはいかがですか。きっと「つながり」を感じられる日になるはずです。
(千葉県松戸市 東漸寺 青木篤史)