ありがとう 心に言葉に行動に 3月
―Let all your words and deeds reveal
the gratitude in your heart.―
ある真夜中の2時半頃、携帯電話のアプリ「LINE」に一通のメッセージが届いた。それに気づいたのは夜が明けた午前7時頃。その相手は、いつも私の事を気にかけてくれる先輩僧侶からだった。
メッセージの内容は一言「南無阿弥陀仏」。他になんの言葉も添えられてはいない。私も「南無阿弥陀仏」とだけ返信メッセージを送った。すると、すぐに先輩から
「昨日は、夜中にゴメンねー何か急にお念仏をおくりたくなってね」
私「もしかして私にお念仏を
先輩「そうよー」
遠く離れた先輩が、自分のしらないところで思ってくださっている。このことがものすごく嬉しかった。朝のお勤めをする前の出来事だ。先輩とのやり取りを終え本堂へ向かう。
「南無阿弥陀仏」のメッセージのことがまだ嬉しく、本堂の寒さすら感じないほどだ。嬉しさは、お勤め中お念仏をおとなえしている時も続いていた。たった
亡き方々は、多くの方をこの世に残して旅立たれる。そんな中、念仏信仰のある血肉の縁の濃いどなたかが、生前の在りし日を思い、日々に南無阿弥陀仏と回向をしている。生きた者同士のお念仏のやり取りでこんなにも嬉しいのだから、亡き方々はさぞや嬉しく思ってくださっているだろうと思う。
「ありがとう 心に 言葉に 行動に」
仏教の修行方法は数多くあるが、すべて
まずは、ありがとうと言葉に出してみよう。自身の感謝の心と行動が養われ、言葉をもらった人は、私が先輩から念仏を申してもらったように喜びに満ち溢れると思う。
(福岡県飯塚市 三経寺 稲益伸剛)